そんな場合じゃないのに思考停止になるアルジュナ

バガヴァッド・ギーター1章のなかでアルジュナが語っている内容は、人としての道徳、敵側にいる家族を殺したくないという優しさです。これを読んでアルジュナはとても人間らしいじゃないか!なにも間違ってはいないじゃないか!そう思ってしまいます。そう思うんですが、2章のサーンキャ・ヨーガの章に入り、クリシュナ神が話し始めるとこの思いが、まぁ見事に覆されるのです。

そんな場合じゃないのに思考停止になるアルジュナ

バガヴァッド・ギーター1章46節
If the sons of Dhritarashtra with weapons in hand should slay me in battle, unresisting and unarmed, that would be better for me.

もしもドリタラーシトラの息子たちが合戦において武器をとり、武器を持たずに無抵抗の私を殺すなら、それは私にとってより幸せなことだと言えます。

バガヴァッド・ギーター1章47節
Sanjaya said:
Having thus spoken in the midst of the battlefield, Arjuna, casting away his bow and arrow, sat down on the seat of the chariot with his mind overwhelmed with sorrow

サンジャヤが(ドリタラーシトラ王に)報告した。アルジュナはこのように言い、戦いの最中に弓と矢を投げ捨て、悲しみに心乱されて戦車の座席に座り込みました。

はい、このアルジュナの「人を傷つけ殺すくらいなら、自分が死んだほうがいい」という気持ちはよく分かります。しかしアルジュナは戦士、しかもパーンタヴァ軍きってのNo,1戦士なのです。彼が戦わなければ軍全体の士気が下がり、そうなればカウラヴァ一族はその機会を逃さず攻め込んできて、パーンタヴァの兵士はもちろん、一族の女性や子供、最後の1人までを虐殺するでしょう。なにしろ盲目のドリタラーシトラ王とその息子ドゥルヨーダナは邪悪なのですから。

そうなれば、戦闘よりもさらにひどい結果になることはみえています。アルジュナはこれまで非道な行いを繰り返してきたカウラヴァをそのまま放置していてはいけないのです。こんな時に悲しみに支配され思考停止になっている場合ではないのです。

以上、全47節で1章が完結します。お疲れさまでした。

1章はストーリーの冒頭だということもあり、登場人物の多さはさておき、比較的読みやすかったのですが、2章に入った途端哲学の要素が強くなります。ヨーガを勉強していると「頭がよくなりたい・・」と漠然と(そして頻繁に)思うのですが、一番最初そう思ったのは確かバガヴァッド・ギーターの2章を初めて読んだ時だったと思います。

さて、このまま2章に入ろうかと思ったのですが、2章冒頭ではサーンキヤ・ヨーガによって不二なる(ふたつとない)原理について語られていてかなり重要なポイントが詰まっています。なのでやはり別の記事で新たな気持ちで学んでいきたいと思います。

カーストという地域コミュニティ崩壊の良い面と悪い面

前回のカースト(階級制度)の記事でも触れましたが、大学などではなく年長者から専門的な知識や技術を学ぶことによって、若い世代は年上の世代を敬うことを自然と身につけることができました。現在は西洋や日本はもちろん、インドもカーストに縛られることなく、ある程度自由に職業を選べる様になり、それには良い面はもちろんありますが、これまであった世代を超えた相互の尊敬が失われつつあります。

科学と技術の発展によって私たちは多くのメリットを手にしましたが、一方で社会の秩序を守ってきた伝統的な習慣や道徳が失われ、社会が混乱しはじめていることも事実です。数千前にバガヴァッド・ギーターの1章でアルジュナが、こういった現代社会の混沌した末世の時代(カリ・ユガ)を正しく予想しています。

カースト(階級制度)の本来の目的とは/前編

カースト(階級制度)の本来の目的とは/後編

ユガ(時代)というヒンドゥー教における宇宙暦

ここで、このユガ(時代)について少し説明したいと思います。ユガはヒンドゥー教が伝承する宇宙の季節の回りのことであり、4つに分類されます。

1, カリ・ユガ
2, ドヴァーパラ・ユガ
3, トレーター・ユガ
4, サティヤ・ユガ

これらのユガの性質は、私たち人類の知性レベルが大きな影響を受けるとされています。宇宙エネルギーの波動が変わるとかそういう大きな規模なのだろうと思います

次にそれぞれのユガの特徴ですが、

1, カリ・ユガ 鉄の時期―最低の精神性。物質的なものだけを理解する人がほとんど。霊的な堕落 1,200年続く
2, ドヴァーパラ(ドワパラ)・ユガ 銅の時期―精神的特性が発達していく 2,400年続く
3, トレーター・ユガ 銀の時期―物質を創りだしている精妙な力を理解できる 3,600年続く
4, サティヤ・ユガ 黄金期―全知性が発露して全ての事を理解できる 4,800年続く

伝統的なヒンドゥー教ではカリ・ユガが43万2000年続くとされていますが「聖なる科学(シュリー・ユクテスワ・ギリ著)」の中で43万2000年は誤りで実際は1,200年であるとされています。

カリ・ユガを生きる私たち

シュリー・スワミ・ユクテスワ・ギリやシュリー・パラマハンサ・ヨガナンダ先生は、私たちの生きているこの時代をドヴァーパラ・ユガの始まりであると考えていますが、ヒンドゥー経典を理解する多くの方々は今、カリ・ユガの時代にあると考えています。

暗黒時代といわれるこのカリ・ユガでは、人間が開発するテクノロジーや科学の進歩により人々が神から遠ざけられ、霊的な堕落を引き起こされるといわれています。カリ・ユガの時代、人の心は疲弊しバランスを失う人も多くなり(特に繊細な人は影響を受けやすいでしょう)、貧困や人間同士の憎しみ、殺し合い(戦争)が絶えません。

まさにアルジュナが1章の後半で述べている通りの世界になっています。次回からはそんな時代を生きていくための叡智をバガヴァッド・ギーター2章のなかで、クリシュナ神から学んでいきたいと思います。

 

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