アーユルヴェーダが考える病気の6段階/ 私のアーユルヴェーダ体験談

西洋医学では、風邪などの身近な体調不良から心筋梗塞や脳梗塞、癌といった深刻なものまで、その症状が深刻な状態であらわれたときにようやく「病気」と認識します。しかし中医学では、体に深刻な症状が出るまで、つまり病気が進展し慢性化するまでの前の段階である「やや健康」な状態を「未病」という概念で捉えています。

病気になるプロセス

アーユルヴェーダでは中医学でいうところの未病をさらに細かく分類しています。病気というのは、何の前触れもなく突然始まるものではありません。私たちの体を維持するドーシャのバランスが、乱れた食事や生活習慣によってアンバランスになり、その状態が一定期間続くことによって段階的に病気へと発展します。

例えば、睡眠不足が続き、仕事や人間関係でストレスを強く感じているときは体調も心のバランスも崩しやすくなります。寒い季節に、体を冷やすような食事を摂り続けると関節の痛みや風邪という症状を引きおこします。

同じように暑い季節に、刺激の強いものや体を温める陽性の食事を続けると体に熱がこもりピッタの性質が強く出て、発熱やイライラという症状があらわれます。このように小さなきっかけでも、それが長く続くことで私たちのドーシャバランスが乱れ、段階的に症状を悪化させてしまいます。

アーユルヴェーダが考える病気の6段階

では、アーユルヴェーダでは健康な状態から病気へとどのように移行していくのかを具体的に見ていきましょう。

蓄積

健康な状態から病気への第1段階が「蓄積」です。先ほども述べましたが普段の食事やライフスタイル、思考や感情のパターンの影響によってドーシャのバランスが乱れることにより、エネルギーが循環せずに体の特定の部分に集まってしまう状態です。この段階での症状はまだ軽く、軽い便秘や不眠などとしてあらわれます。

増悪

その次の段階が「増悪」で、これは字の通り蓄積された悪い要素が増加している段階です。バランスが乱れたドーシャを修正せずそのまま放置することで、ドーシャの乱れがさらに進み、僅かですが病気の兆候があらわれ始めます。腹部の痛みを感じたりガスが増加し、便秘の症状が悪化するなどの症状が当てはまります。

播種(はしゅ/種まき)

過剰になったドーシャが体の中を動き回る第3段階が「播種」です。この段階では体のあちこちに症状があらわれます。しかし、それほど明確には症状が見えないため本人はもちろん、医者も原因を突き止めることは困難です。症例としては肌の乾燥や関節の硬化などが当てはまります。

局在化

増大したドーシャが特定の箇所に定着し、症状が深刻化する段階が「局在化」です。この段階では本人も関節の痛みなど、しっかりと体の異変を認識していますが、この体調不良のサインを見逃し放置していると次の段階「発症」へとつながります。

発症

第5段階の「発症」は、中医学の未病の範囲を超え「病気」と捉えられます。アーユルヴェーダも「発症」の段階を過剰なドーシャが患部に定着し特定のびょうきとして認識できるほどに進行した段階と考えていますが、西洋医学ではまだこの段階では病気とはしません。

慢性化

そして第6段階が「慢性化」です。病名が明確になり、症状が長期的に続く最終段階で、現代西洋医学ではこの段階になってようやく「病気」と診断しますが、この時点で症状はかなり深刻になっています。

アーユルヴェーダでは、病気が深刻化してからようやくケアをスタートするのではなく、2段階目の蓄積の時点でアプローチを始めます。アーユルヴェーダは治療だけではなく、健康の維持、増進までもを視野に入れたメソッドなのです。

アーユルヴェーダの効果に感激

さて、私がアーユルヴェーダ治療の驚くべき効果を実感したのは、7年ほど前に日本に一時帰国中に発症した慢性蕁麻疹がきっかけでした。当時はヴィーガンやヴェジタリアンという食生活を試行錯誤し、動物性のものや加工食品を摂らない生活にトランジションして3年ほど経った頃でした。

ある夏の朝、足首が虫刺されのように痒くなったと思っていたら内腿や腕、鎖骨の周りなどあっという間に痒みが広がり、全身に虫刺されのような膨らみができていました。最初は突発性のものだと思って痒みを我慢していたのですが、これが2年ほど続く慢性蕁麻疹の始まりでした。ちなみにヨガの練習を始め、食生活を大きく改革させるまでは普通に肉や加工食品を食べ、お酒も飲んでいました。

蕁麻疹が発症した当時は、すでにお酒も飲まなくなっていて(今も飲みません)、市販薬もよほどのことがない限り飲まなかったのですが、あまりの痒みに抗ヒスタミン剤を飲むことにしました。抗ヒスタミン剤のおかげで一時的に症状は弱くなりましたが、副作用で体が重く、痒みの源を常に体内に感じていました。

そんな状態が1年ほど続いた頃、同じく慢性蕁麻疹になっていたインド在住の同じ歳の親しい友人が彼女の担当医(アーユルヴェーダドクター)のところに連れて行ってくれることなりました。地元でも有名なそのドクターが問診のあと、脈や舌や肌を診て「今の健康な生活に移行する前の毒素が抜けているプロセス」といった診断内容を詳しく伝えてくれました。つまり私の体はこれまで溜めていた毒を蕁麻疹という形でデトックスしている最中だったのです。

そして朝と夜に飲むパウダーを2種類と、7種類の錠剤(すべて手作りの生薬)を処方し「まずこれで1週間様子を見よう」とおっしゃいました。ちょうど夕方だったので蕁麻疹が出ていて身体中が痒く、帰りのタクシーの中で作ってもらったばかりの薬を飲みました。すると滞在しているゲストハウスに到着する前に、体の奥の方から痒みがすーっと鎮まりました。それは抗ヒスタミン剤によって表面的な痒みを押さえつけるような感覚ではなく、深い部分から痒みの元を取り除くような「癒される」ものでした。

アーユルヴェーダで処方されるお薬はすべて自然由来で、イメージとしては「漢方のようにゆっくりと効果を出すもの」という固定観念があったのでこの速効性には本当に驚きました。もちろん時間をかけて治す必要があるので、この薬は半年以上続けたのですが、治療している間、蕁麻疹は1度も出ませんでした。

この経験に感動しこれまで基礎知識程度にしか知らなかったアーユルヴェーダのに興味を持ち勉強を始めたのですが、このドクターに処方してもらう薬はどれも効果てきめんで、今でも毎年リシケシに着いた翌日に先生に会いに行きます。

去年、人生において様々な変化があり、環境の変化に心がついていかず精神的なバランスを崩してしまう直前だったのですが、先生にその時の状況を話し脈を診てもらい、「自律神経を整えていこう」と出されたパウダーと錠剤で翌週にはすっかり元気になっていました。アーユルヴェーダの生薬はあれほど効果をだすのに副作用がなく、体の状態はもちろん心のバランスまで整うことに本当に感動します。

本当はパンチャ・カルマを受けて本格的に体調を整えたかったのですが、去年はインドでゆっくりする時間が取れなかったので、今年のインド滞在でトリートメントを受けてこようと思っています。

私が今までに読んだ日本語で読めるアーユルヴェーダの本の中でベストの2冊です。勉強になるだけでなく、読んでいるだけでも楽しいところも魅力です。

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