実践的なヨガの練習方法①ヤマ編

実践的なヨガの練習方法①ヤマ編

自分自身の本質である真我(アートマー)に至ることがヨガの練習の目的であることをこれまでの記事で紹介してきました。

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アシュタンガ八支則は、ヨガを練習する私たちにとって非常に重要なテーマであり、最初にあげられるヤマ(禁戒/さけるべきこと)ニヤマ(内側の練習としてすべきこと)は、日常生活における普遍的な実践方法です。ではさっそく順番にみていきましょう。

アシュタンガ八支則

 

1, ヤマ/さけるべき行いや思考
2, ニヤマ/すべきこと
3, アーサナ/体位法
4, プラーナーヤーマ/呼吸法、調気法
5, プラッティヤーハーラ/心、感覚を静める
6, ダーラナー/集中
7, ディヤーナ/瞑想
8, サマーディ/瞑想の深まり、静寂

 

ヤマ

まず最初の「ヤマ」について。これは私たちが普段の生活で無意識についやってしまうこと、よくない習慣や思考のパターンを意識的に正し、いつも心が整った状態であるための練習方法です。

ヨーガスートラ2章30節
「AHIMSA/SATYASTEYA/BRAHMACHARYAPARIGRAHA/YAMAH アヒンサー・サッティヤ・アステーヤ・ブランマチャールヤー・アパリグラハーヤーマハ」

1, アヒンサー/暴力的な言動を慎む
2, サッティヤ/正直であること、嘘をいわない
3, アステーヤ/盗まない
4, ブランマチャールヤ/規則正しい生活する
5, アパリグラハ/必要のないものを抱え込まない

さて、ヤマのひとつひとつの項目はそれぞれヨーガスートラの中で紹介されています。ではまずはアヒンサーから一緒に勉強していきます。

アヒンサー

ヨーガスートラ2章35節
「AHIMSA/PRATISHTHAYAM/TAT/SAMNIDHAU/VAIRA/TYAGAH アヒンサー・プラティシュターヤン・タッ・サンニダウ・ヴァイラッ・ティヤーガハ」

 

アヒンサー(暴力的な言動を慎むこと)が習慣になったとき、周りにいる人々の敵意がなくなります
と、向井田みお先生は「ヨーガスートラ」の中で訳されています。ちなみにシュリー・スワミ・サッチダーナンダ先生のインテグラル・ヨーガでは「非暴力に徹した者のそばでは、すべての敵意が止む」と説明されています。

家族や恋人や友達といった自分にとって大切な人はもちろん、深く関わっていない他人やどちらかというと好きではない人、苦手だと感じている人、自分を取り巻く全ての人、そして人間以外の全ての生き物に対し、傷つけない、苦痛を与えないことを決意し守り抜くことがアヒンサーです。向井田みお先生は2章35節のタイトルを「非暴力を守ると無敵になる」とされています。

マハートマ・ガンディー師

「アヒンサー/非暴力」と聞くとインド独立の父として尊敬され、全てのインドルピー札に印刷されているマハートマ・ガンディー師を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。マハートマ・ガンディー師はアヒンサーを独立運動のモットーとし武力をつかうことなくインド独立という偉業を成し遂げました。非暴力を完璧に実行している人の前では、敵意を持って近づいた人さえ敵対心を失ってしまうとシュリー・スワミジはおっしゃっています。つまり「非暴力を守ると無敵になる」ということです。

これは私の経験ですが、マットの上の練習だけでなく「生活をヨガにする」ことの練習において、アヒンサーを意識的に心がけることで沢山の良い変化がありました。生き物の命を奪わない食生活を選ぶことはとても大切な練習で、これは私たち人間にできる最も素晴らしい選択の一つだと思います。個人が決意した「動物性のものを摂らない」というチョイスは、小さい「行い」かもしれないけれど地球や環境に対し良い影響を与える「結果」となり、この人生の選択は地球という大きなコミュニティーの一員であると実感させてくれます

私たちが実践できるアヒンサーは他にもあります。自分の気分や怒りに任せた感情的な言葉によって他人をつらい気持ちにさせたり悲しませないこと、偏った物の見方でうまれる悪口や批判などで人を傷つけない。他者はあなたが感情をぶつけるために存在しているのではないことを理解し、自分がされて嫌なことは相手も嫌だという最低限の想像力を働かせ人と接すること。そういった些細なことが全てアヒンサーの練習につながっています。

では、続いてサッティヤに進んでいきましょう。

サッティヤ

ヨーガスートラ2章36節
「SATYA/PRATISHTHAYAM/KRIYA/PHALASRAYATVAM サティヤ・プラテシュターヤン・クリヤーパラ・アーシュラヤトヴァン」

「嘘をいわないことを守り抜けば、その人の発言すべてが、本当のことになります」ーヨーガスートラ/向井田みお先生著より

サッティヤ(正直)にを貫くことによって、その人の行為と結果がその通りになるという意味の詩ですが、シュリー・スワミジはインテグラル・ヨーガの中で「絶対的な正直というのは、方便としての嘘も言わないということである。正直であることによって問題が生じたり、誰かに困難や不都合が生じるならば、われわれは沈黙を守るべきである」と書かれています。

久しぶりに会った友達が少し、ふくよかになっていたとしてわざわざ正直に「久しぶり、なんか太ったね、どうしたの?」などと直球で発言すればいいというわけではないし「痩せたね」と事実ではないこと(嘘)をいうのとも違います。

他人に対して発信する言葉だけではなく自分自身にも嘘をつかず、常に正直であることが大切だと思っています。
「今朝は昨日の疲れが残っていてだるいから練習するのやめようかな」という気持ちになったとします。一見、練習をしないという選択が自分に正直なように見えますが、心を覆っている表面的な感情をかき分け、そもそも練習の目的はなんだったろう?と自分に問いかけていくと「練習することによって自分はどうなっていきたいのか」というそもそもの練習のきっかけや自分のやるべきことがみえてきます。自分自身を裏切らない選択を積み重ねることもサッティヤの練習のひとつだと思っています。

では、次にアステーヤについて学んでいきましょう。

 アステーヤ

ヨーガスートラ2章37節
「ASTEYA/PRATISHTHAYAM/SARVA/RATNOPASTHANAM アステーヤ・プラティシュターヤーン・サルヴァ・ラットナ・ウパスターナン」

「アステーヤが習慣になった時、大事な物をすべて手に入れることができます」ーヨーガスートラ/向井田みお先生著より

「不盗に徹した者のところには、あらゆる富が集まる」ーインテグラル・ヨーガ/シュリー・スワミ・サッチダーナンダ先生著より

誰かのものを勝手に使ったり盗んだりすることをしないでいれば、自分にとって必要な物は向こうからやってくるという詩です。誰かのお金や物を盗まないというのは当たり前に聞こえますが、もう少し掘り下げてみましょう。
会社に勤めているとして、定時に出社したあと与えられた仕事をせずにスマートフォンをいじって全く関係のないことに心を奪われながら過ごしていたとしたら、それは勤めている会社からお給料を盗んでいることになります。ヨガを教えていたとして、クラス中生徒さんが求めている内容を提供できなければ、参加した人の時間とお金を盗んでいることになります。

この他にも無駄話や悪口に付き合わせて他人の時間とエネルギーを奪わない、約束していた時間に大幅に遅れ、誰かの時間を盗まない。こういった無意識でいると意外とやってしまいがちなことを意識的にやめていく練習がアステーヤの本質だと思います。

続いてブランマチャールヤです。

ブランマチャールヤ

ヨーガスートラ2章38節
「BRAHMACHARYA/PRATISHTHAYAM/VIRYA/LABHAH ブランマチャールヤ・プラティシュターヤーン・ヴィールヤ・ラーバハ」

「規則正しい生活が自然にできるようになった時、精神的な力と望みを叶える強さを得ます」ーヨーガ・スートラ/向井田みお先生著より

ブランマチャールヤ(ブラフマチャーリヤ)に対して「禁欲」「性的エネルギーのコントロール」といった訳され方が多いのですが、私は向井田みお先生の「規則正しい生活/規律ある日々の生活、行い」という表現がずっと理解しやすかったです。

シュリー・スワミジの「インテグラル・ヨーガ」ではこの詩を「禁欲に徹する者は、精力を得る」とあります。
私が初めてヤマ・ニヤマについて勉強した時も性的エネルギーに振り回されない、禁欲、という表現を教わったのですが深く理解できたとはいえませんでした。ブランマチャールヤを自分自身にしっかりと規律を持ち、毎日の生活を規則正しく整えることで、怠惰なマインドに自分を縛り付ける良くない習慣から離れ、行うべきことに大切な時間を使うことができる。そのように解釈しています。

ヤマの最後はアパリグラハです

アパリグラハ

ヨーガスートラ2章39節
「APARIGRAHA STHAIRYE JANMAKATHAMTA SAMBODHAH アパリグラハ・スタイルイェー・ジャンマ・カタンター・サンボーダハ」

「執着が無くなった時、どうして自分が生まれたか?なぜこの体を持っているのか?過去と未来のつながりを知る知恵を理解します」ーヨーガ・スートラ/向井田みお先生著より

 

なんでも溜め込むくせのある人がいますが、物でも感情でもたくさん持ちすぎるとストレスになります。ストレスは心に問題をもたらしますのでベストの状態でいることが難しくなるでしょう。定期的に自分が抱えている物や感情を見直し、整理整頓していく必要があります。物にしろ感情にしろ「なぜ必要だと思っているのか、本当に必要なのか」と自問し必要ではないもの意味のないものを手放すことで持ち物、体、他人の持ち物、他人の体に対するとらわれや執着から離れることができます。

さて、以上が「アシュタンガ八支則」の一番最初の項目「ヤマ」でした。次の記事では、続く「ニヤマ」について勉強していきます。

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目次 1 実践的なヨガの練習方法②ニヤマ編2 ニヤマ3 シャウチャ4 サントーシャ5 タパス6 ソヴァーディヤーヤ7…

ニヤマ編はこちら

 

なお、ここに説明しているのはヨーガ・スートラにおけるアシュタンガヨガ、つまり「パタンジャリ先生のアシュタンガ八支則」です。
流派における「アシュタンガヨガ」はシュリ・K・パッタビ・ジョイス先生によって作られたハタ・ヨガのメソッドであり別のものです。

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