私たちの体を動かすエネルギー「ドーシャ」とは?

前回、私たちを含め、自然界のすべてのものは5つの元素によって構成されているということについて勉強しました。

では今回は、私たちの体を動かしている「ドーシャ」というエネルギーとは一体なにか?を一緒にみていきたいと思います。

私たちの体を動かすエネルギー「ドーシャ」とは?

アーユルヴェーダでは私たちの体の性質を、5つの元素のバランスから「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」の3つに分けられると考えます。そしてこの3つの性質のことを「ドーシャ」と呼んでいます。

このドーシャは常に大きなバランスの中で互いに影響し合いながら、移り変わっていく性質があり常に同じ状態ではありません。常に動き変化し続ける、これは私たちの「心(チッタ)」と同じと言えますね。

ではそれぞれのドーシャの性質と働きをみていきましょう。

3つの「ドーシャ」/トリ・ドーシャ

(注)性質の解釈法ですが、例えば「軽性」であれば「軽さを増すように働きかける性質」というふうに捉えていきます。

「ヴァータ」

ヴァータは風と空の元素によって構成され、その2つの元素のバランスによって活力に変化を与えます。ヴァータの性質は軽性・冷性・動性・速性・乾燥性で、これらは私たちの運動エネルギーとして体内において、運搬、循環、思考、細胞を分解する働きを担っています。またヴァータのエネルギーは、中医学でいうところの「气」に相当する存在であると考えられます。

 

「ピッタ」

ピッタは日のエネルギーで、火と水の元素から構成されています。火と水をぱっとイメージすると正反対の性質を持つように思えますが、これらは相互に調節しあい、生命を維持するうえで欠かせない働きを担っています。ピッタの性質は熱性・鋭性・軽性・液性・油性で、変換のエネルギーとして代謝や消化を制御しています。ピッタエネルギーは中医学では「气(きがまえ)に火」の入った「気」であると推定さています。

 

「カパ」

カパは水のエネルギーであり、水と地の元素から構成されています。ピッタの性質としては重性・冷性・遅性・油性・安定性を持ち、統合するエネルギーとして構造や体力を維持する「同化作用」を担っています。ピッタのエネルギーは中医学の「氣」に相当するといわれます。

生命を維持するためにドーシャは欠かせないエネルギー

ドーシャは私たちが生きていくうえで重要な役割を担っています。3つのドーシャの働きについて具体的な例を引用します

たとえば、骨の主成分はカルシウム・リン・タンパク質です。しかし、この成分を混ぜ合わるだけでは骨はできません。これらの成分を固体化させて骨にするためには、構造を維持するエネルギーであるカパが必要なのです。

また、人形に食事をさせたとしても、体内に入った食べ物は血や肉に変化しません。変換エネルギーであるピッタがなければ、体内で変化が起こらないからです。ピッタの働きがあってはじめて、血と肉が作られるというわけです。

そして、カパとピッタのエネルギーによって骨や血や肉がつくられたとしても、それだけでは体の各所に栄養を送ったり、代謝された老廃物を排出したりすることはできません。循環や運搬などの機能を担うのは、運動エネルギーであるヴァータだからです。

上馬場和夫先生・西川眞知子先生著「新版インドの生命科学・アーユルヴェーダ」より

私たちの体というのは、これら3つのドーシャエネルギーによって運営されています。つまりドーシャのバランスが保たれることで、体のベースとなる構造が作られ、食べ物の栄養を吸収し血や肉に変換し、エネルギーの循環によって代謝や排出が可能になり、私たちは体と健康を維持することができるのです。

しかし、いずれかのドーシャが増えたり減ったりするなどしてバランスが崩れると、体はもちろん心にも不快な症状があらわれます。

内側で起きているドーシャの変化を感じる

この3種類のドーシャのバランスは常に変化しています。あるときはヴァータが上がり(増える)、またあるときはピッタが下がる(減る)といった具合に絶えず変動しているのです。

アーユルヴェーダはこのドーシャ・エネルギーのバランスの変化を重視しています。エネルギーのアンバランスを放置しておくということは、つまり根本的な問題が解決されていない状態なので、不調が改善することはありません。

ヴァータのエネルギーが過剰になると、体内には風の性質が増えます。ヴァータは軽性・冷性・動性・速性・乾燥性という性質を持っているので、体が冷えたり、肌が乾燥したりという症状としてあらわれます。

ピッタが過剰になることで、体内には火のエネルギーが増加します。熱性・鋭性・軽性・液性の性質をもつピッタエネルギーが強くなることで、皮膚の炎症や下痢などの症状があらわれます。

カパのエネルギーが増えることによって、重性・油性・冷性・遅性という水のエネルギーが過剰になり、体が浮腫んだりだるさを感じたりします。また鼻水やたんが増えるのもカパエネルギーが強く出ている症状です。

以上はドーシャのバランスの乱れによる体の反応ですが、心も同様に影響を受けます。心の反応についてはまた別の記事で紹介していこうと思います。

自分自身の体の状態に意識的になり、症状として現れていることや肌の状態を観察し、今自分はどのエネルギーが増えて(あるいは減って)いるのかを、アーユルヴェーダの知恵を通して目を向けることで、多少のトラブルや不調に対し適切な対処をすることができます。

アーユルヴェーダの法則に則って、休息や食事、運動で調整をし、心の持ち方を見直していくことでバランスは改善され、心と体は快適な状態を取り戻します。

アーユルヴェーダがめざすのは、アンバランスによる症状があればバランスを元に戻し(治療)、再びアンバランスにならないようにして(予防)、さらには、そのバランスをより向上させて幸せになることです(健幸増進)。上馬場和夫先生・西川眞知子先生著「新版インドの生命科学・アーユルヴェーダ」より

 


こちらはアーユルヴェーダについてとても詳しく書かれた本で、私の愛読書です。


こちらもとてもオススメの一冊。「アーユルヴェーダ」カテゴリーの記事はこの2冊から多くの引用をさせていただいています。

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